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( 2024/11/28 )
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The fool
( 2007/09/23 )
扉を開けると、いたのはドレス姿のボスの姿でした。
「………」
ザンザスは言葉を失った。
暫しして漸う我に返り、
「おい、綱吉」
「何?」
「何、じゃない。その格好は―――」
「え? あぁ、これ?」
綱吉は己の格好を見て苦笑し、あははと軽く笑った。
「リボーン達に遊ばれちゃってさ」
「遊ばれ……って」
あのクソガキ。
御歳十余歳の漆黒を思い出してザンザスはその顔に一発拳を叩き込んだ。―――ら、想像の中でも銃弾が返って来て背筋が冷えた。
「……ザンザス?」
如何したの?
見上げて来る視線に眩暈。
「着替えろ」
「え?」
「着替えろ。今すぐ即行で」
「あーうんそりゃ着替えたいけど。背中のホックに手が届かなくて」
ザンザス、お願い出来る?
「――――」
外せってか。
これは何だ試されているのか実は、と思いつつ背を向けた綱吉に手を伸ばす。相手は欠片も警戒していない。過去敵対した自分に対して、だ。
その事に呆れつつ、そう言えば、と思い出す。
綱吉はザンザスの事を名前で呼び捨てにする。六道骸もそうだった。十年間連れ添っている筈の山本武や獄寺隼人や雲雀恭弥が未だに呼び方が変わっていないのに対して。
『山本』『獄寺君』『ヒバリさん』……彼の他人と距離を置きたがるこれは、ダメツナ時代の名残だろうか。
敵対するのも悪い事ばかりではないのかも知れない。
まぁ、そんな馬鹿な事を考えられるのも今のこの現状あって、のものなのだろうが―――。
「……ほら、取れた」
「あー、助かった。有り難う、ザンザス」
「―――――」
ちらりとこちらを見て、笑う。しかしザンザスは、それに反応出来なかった。
後ろにいたから、丁度見えた。首筋の後ろにくっきりと付けられた、赤い―――
「おい、綱吉」
「ん?」
「それ、誰に付けられた」
「それ? ……何が?」
気付いてないのかこの馬鹿。
あまりにもあまりなこの男に怒りを覚え、ザンザスはその衝動のままに彼の体を引き寄せた。
「綱吉」
「へ?」
頓狂な声を上げた青年に無理矢理口付ける。驚いて暴れ出そうとした彼を押さえて更に深く。
「ん、……いきなり何?」
手を放した瞬間、がばっと勢い良く離れて行く彼に、ザンザスは溜め息を吐く。
「着替えろ。の前に体洗え」
痕付けられるなんざ、無防備も良い所だ。
恐らく今頃笑っているであろう家庭教師に殺意が湧いた。
「……本気で如何かした?」
「煩ェ。かっ消すぞ」
「ええぇ!?」
ざっと身を引く青年の腕を捉えて再度引き寄せる。消したいのはお前じゃなくてその周り。
尤も、それをすると彼が悲しむ事を知っているから、思うだけに止めるのだが。
「綱吉」
「……何?」
最早何度目かも判らぬ言葉と共に、綱吉は首を傾げる。そしてふと思い付いたようにザンザスに近付くと、彼の頬にキスをした。
「!? な、お前」
「あんまり悩むなよ? 俺が聞くからさ」
「…………」
照れも何もなくにっこり笑う顔に、ザンザスは額を押さえた。
「―――え、ザンザス!? 実は具合悪かったのか!?」
「……違う」
違う、そうじゃなくて。
あぁ全く本当何だってこんなに、
「…………お前は心臓に悪過ぎる」
そして何よりも性質が悪いのは本人にこれっぽっちも自覚が無い事だと、ザンザスはそう思うのだ。
「………」
ザンザスは言葉を失った。
暫しして漸う我に返り、
「おい、綱吉」
「何?」
「何、じゃない。その格好は―――」
「え? あぁ、これ?」
綱吉は己の格好を見て苦笑し、あははと軽く笑った。
「リボーン達に遊ばれちゃってさ」
「遊ばれ……って」
あのクソガキ。
御歳十余歳の漆黒を思い出してザンザスはその顔に一発拳を叩き込んだ。―――ら、想像の中でも銃弾が返って来て背筋が冷えた。
「……ザンザス?」
如何したの?
見上げて来る視線に眩暈。
「着替えろ」
「え?」
「着替えろ。今すぐ即行で」
「あーうんそりゃ着替えたいけど。背中のホックに手が届かなくて」
ザンザス、お願い出来る?
「――――」
外せってか。
これは何だ試されているのか実は、と思いつつ背を向けた綱吉に手を伸ばす。相手は欠片も警戒していない。過去敵対した自分に対して、だ。
その事に呆れつつ、そう言えば、と思い出す。
綱吉はザンザスの事を名前で呼び捨てにする。六道骸もそうだった。十年間連れ添っている筈の山本武や獄寺隼人や雲雀恭弥が未だに呼び方が変わっていないのに対して。
『山本』『獄寺君』『ヒバリさん』……彼の他人と距離を置きたがるこれは、ダメツナ時代の名残だろうか。
敵対するのも悪い事ばかりではないのかも知れない。
まぁ、そんな馬鹿な事を考えられるのも今のこの現状あって、のものなのだろうが―――。
「……ほら、取れた」
「あー、助かった。有り難う、ザンザス」
「―――――」
ちらりとこちらを見て、笑う。しかしザンザスは、それに反応出来なかった。
後ろにいたから、丁度見えた。首筋の後ろにくっきりと付けられた、赤い―――
「おい、綱吉」
「ん?」
「それ、誰に付けられた」
「それ? ……何が?」
気付いてないのかこの馬鹿。
あまりにもあまりなこの男に怒りを覚え、ザンザスはその衝動のままに彼の体を引き寄せた。
「綱吉」
「へ?」
頓狂な声を上げた青年に無理矢理口付ける。驚いて暴れ出そうとした彼を押さえて更に深く。
「ん、……いきなり何?」
手を放した瞬間、がばっと勢い良く離れて行く彼に、ザンザスは溜め息を吐く。
「着替えろ。の前に体洗え」
痕付けられるなんざ、無防備も良い所だ。
恐らく今頃笑っているであろう家庭教師に殺意が湧いた。
「……本気で如何かした?」
「煩ェ。かっ消すぞ」
「ええぇ!?」
ざっと身を引く青年の腕を捉えて再度引き寄せる。消したいのはお前じゃなくてその周り。
尤も、それをすると彼が悲しむ事を知っているから、思うだけに止めるのだが。
「綱吉」
「……何?」
最早何度目かも判らぬ言葉と共に、綱吉は首を傾げる。そしてふと思い付いたようにザンザスに近付くと、彼の頬にキスをした。
「!? な、お前」
「あんまり悩むなよ? 俺が聞くからさ」
「…………」
照れも何もなくにっこり笑う顔に、ザンザスは額を押さえた。
「―――え、ザンザス!? 実は具合悪かったのか!?」
「……違う」
違う、そうじゃなくて。
あぁ全く本当何だってこんなに、
「…………お前は心臓に悪過ぎる」
そして何よりも性質が悪いのは本人にこれっぽっちも自覚が無い事だと、ザンザスはそう思うのだ。
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