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何でも良いからこの題名と最後の一文を使ってみたかっただけ。うんゴメン意味が判らない。


奇跡を嗤うその口で

「奇跡は存在しない」
「まぁ、そりゃそうだろ」
 ふん、とその男は鼻を鳴らした。

 この世界では、奇跡など願う者はいない。それは当然だ。
 何故なら奇跡は存在しない。
 神が存在しないのと等しく。
 けれど人を救えるのが神だけであるように、人を助けられるのは奇跡だけなのだ。
 だからこそ、彼等は期待しない。
 奇跡も。
 神とて。

「なのにお前は、俺を愛してるとか馬鹿げた事言うんだな」
「当然だな」
 矢張りその男は、当然のようにそう嗤った。
 じ、と綱吉はその男を見遣る。この世界の大半を馬鹿にしきった男だ。
 この数年で、以前よりも遥かに強くなった事を知っている。一度負けを知った体は、強さを求める事に貪欲になる。
 多分、強さしか知らなかった時とは比べものにならない程。
 唇。歪んでいるが、それでも醜くはない。
 多分彼は、真っ直ぐ過ぎただけだったのだ。
 愛情を求めていた。何処までも真っ直ぐに。
 昔も。
 そして、今も。

「ザンザス」

 名を呼ぶと振り返る。自分に向ける時にだけ少しだけ瞳が優しくなる事を、知っている。
 小さいが、大きな差だった。
「神がいるとするなら、それはお前だろうよ」
「はは、―――昔のお前に聞かせたいな」
 くすくすと、笑う―――王。
「お前以外の、誰が否定するか」
 否やの言葉など、誰も発しないだろう事を、知らぬは本人ばかり。
 神の愛した少年王は神を超えた王になり、そして神は廃れる。
 何故ならば神は死んだ。
 多分、人間の生まれた、その瞬間に。言うなれば彼の誕生したその時に。
 何も知らぬげに笑う王は、一体何処まで見晴るかすのか。
「お前は―――」
 ザンザスは呟いた。声が掠れたのには、気付かなかった振りをした。
「歴代一の、残虐王だろうよ」
「さぁねぇ」
 人は笑う。唯一の人は笑う。無二の神は笑う。
 恐らく。
 確証はなくとも。
「愛は神が造ったものなのに」
「馬鹿言え。神は愛を禁じた」
 意見の相違は信仰の相違ではない。
 泥人形か、骨盤か。
 熟れた林檎にナイフを突き刺したのは蛇ではなかったのに?
 奇跡は神が作るものだ。
 だから存在しない。
 何度でも主張する。何度でも繰り返す。それは真理だから。
 小さな存在を眼の前に、ザンザスは小さく息を吐いた。
 愛を称えるこの男は愛を讃えない。
 戯れの口付けを送ると、綱吉は悪戯っぽく笑った。





(どうかどうか奇跡を嗤うその口で奇跡のような愛を讃えてみせて)

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