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( 2024/11/28 )
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奇跡を嗤うその口で
( 2007/11/12 )
何でも良いからこの題名と最後の一文を使ってみたかっただけ。うんゴメン意味が判らない。
奇跡を嗤うその口で
奇跡を嗤うその口で
「奇跡は存在しない」
「まぁ、そりゃそうだろ」
ふん、とその男は鼻を鳴らした。
この世界では、奇跡など願う者はいない。それは当然だ。
何故なら奇跡は存在しない。
神が存在しないのと等しく。
けれど人を救えるのが神だけであるように、人を助けられるのは奇跡だけなのだ。
だからこそ、彼等は期待しない。
奇跡も。
神とて。
「なのにお前は、俺を愛してるとか馬鹿げた事言うんだな」
「当然だな」
矢張りその男は、当然のようにそう嗤った。
じ、と綱吉はその男を見遣る。この世界の大半を馬鹿にしきった男だ。
この数年で、以前よりも遥かに強くなった事を知っている。一度負けを知った体は、強さを求める事に貪欲になる。
多分、強さしか知らなかった時とは比べものにならない程。
唇。歪んでいるが、それでも醜くはない。
多分彼は、真っ直ぐ過ぎただけだったのだ。
愛情を求めていた。何処までも真っ直ぐに。
昔も。
そして、今も。
「ザンザス」
名を呼ぶと振り返る。自分に向ける時にだけ少しだけ瞳が優しくなる事を、知っている。
小さいが、大きな差だった。
「神がいるとするなら、それはお前だろうよ」
「はは、―――昔のお前に聞かせたいな」
くすくすと、笑う―――王。
「お前以外の、誰が否定するか」
否やの言葉など、誰も発しないだろう事を、知らぬは本人ばかり。
神の愛した少年王は神を超えた王になり、そして神は廃れる。
何故ならば神は死んだ。
多分、人間の生まれた、その瞬間に。言うなれば彼の誕生したその時に。
何も知らぬげに笑う王は、一体何処まで見晴るかすのか。
「お前は―――」
ザンザスは呟いた。声が掠れたのには、気付かなかった振りをした。
「歴代一の、残虐王だろうよ」
「さぁねぇ」
人は笑う。唯一の人は笑う。無二の神は笑う。
恐らく。
確証はなくとも。
「愛は神が造ったものなのに」
「馬鹿言え。神は愛を禁じた」
意見の相違は信仰の相違ではない。
泥人形か、骨盤か。
熟れた林檎にナイフを突き刺したのは蛇ではなかったのに?
奇跡は神が作るものだ。
だから存在しない。
何度でも主張する。何度でも繰り返す。それは真理だから。
小さな存在を眼の前に、ザンザスは小さく息を吐いた。
愛を称えるこの男は愛を讃えない。
戯れの口付けを送ると、綱吉は悪戯っぽく笑った。
(どうかどうか奇跡を嗤うその口で奇跡のような愛を讃えてみせて)
「まぁ、そりゃそうだろ」
ふん、とその男は鼻を鳴らした。
この世界では、奇跡など願う者はいない。それは当然だ。
何故なら奇跡は存在しない。
神が存在しないのと等しく。
けれど人を救えるのが神だけであるように、人を助けられるのは奇跡だけなのだ。
だからこそ、彼等は期待しない。
奇跡も。
神とて。
「なのにお前は、俺を愛してるとか馬鹿げた事言うんだな」
「当然だな」
矢張りその男は、当然のようにそう嗤った。
じ、と綱吉はその男を見遣る。この世界の大半を馬鹿にしきった男だ。
この数年で、以前よりも遥かに強くなった事を知っている。一度負けを知った体は、強さを求める事に貪欲になる。
多分、強さしか知らなかった時とは比べものにならない程。
唇。歪んでいるが、それでも醜くはない。
多分彼は、真っ直ぐ過ぎただけだったのだ。
愛情を求めていた。何処までも真っ直ぐに。
昔も。
そして、今も。
「ザンザス」
名を呼ぶと振り返る。自分に向ける時にだけ少しだけ瞳が優しくなる事を、知っている。
小さいが、大きな差だった。
「神がいるとするなら、それはお前だろうよ」
「はは、―――昔のお前に聞かせたいな」
くすくすと、笑う―――王。
「お前以外の、誰が否定するか」
否やの言葉など、誰も発しないだろう事を、知らぬは本人ばかり。
神の愛した少年王は神を超えた王になり、そして神は廃れる。
何故ならば神は死んだ。
多分、人間の生まれた、その瞬間に。言うなれば彼の誕生したその時に。
何も知らぬげに笑う王は、一体何処まで見晴るかすのか。
「お前は―――」
ザンザスは呟いた。声が掠れたのには、気付かなかった振りをした。
「歴代一の、残虐王だろうよ」
「さぁねぇ」
人は笑う。唯一の人は笑う。無二の神は笑う。
恐らく。
確証はなくとも。
「愛は神が造ったものなのに」
「馬鹿言え。神は愛を禁じた」
意見の相違は信仰の相違ではない。
泥人形か、骨盤か。
熟れた林檎にナイフを突き刺したのは蛇ではなかったのに?
奇跡は神が作るものだ。
だから存在しない。
何度でも主張する。何度でも繰り返す。それは真理だから。
小さな存在を眼の前に、ザンザスは小さく息を吐いた。
愛を称えるこの男は愛を讃えない。
戯れの口付けを送ると、綱吉は悪戯っぽく笑った。
(どうかどうか奇跡を嗤うその口で奇跡のような愛を讃えてみせて)
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