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( 2024/11/27 )
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だとしたらあまり重要ではなかったのかしら。
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手にした、漸う手にしたと思っていたのに。気付いたらなくなっていた事に絶望した。否、絶望すら恐らくなかった。最初から希望などなかったのだから、絶えよう筈もなかったのだ。自分で考えた事に思わず嗤い、更に歩き出す。行く宛てはない。当然だ、何故なら道すらない。もしかしたら地面すらないのかも知れなかった。足の感覚が既にないので自信がない。果たして自分は歩いていただろうか。そんな疑問と共に足を進める。地を掴んでいる感覚はない侭に、進む。だからあぁ落ちないなと、そんな感想を持った。浮かんだのはそれだけだったから、何かが可笑しい事にも気付かないままに足を動かした。既に手の中には何も無いのに。何が欲しかったのか判らなかった。覚えていなかった。だったらそんなに重要なものではなかったのかも知れない。けれどとてもとてもとても、それこそ自分の生よりも欲しがったものの筈だった。あまりに滑稽、あまりに愉快。くすくすと声を立てて笑いながら、最終地点を思い付いた。けれどすぐに落胆する。足を動かす。進んでいるのかももう判らない。判りたくもない。嗚呼、神よ、これは何の悪戯か。世界を創る事に飽いたなら文句は無かったのに。世界はあまりにも広大で、だから自分はまた偽りの絶望を心の内に作り出す。生きている内に辿り付くには、地獄は遠過ぎた。
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手にした、漸う手にしたと思っていたのに。気付いたらなくなっていた事に絶望した。否、絶望すら恐らくなかった。最初から希望などなかったのだから、絶えよう筈もなかったのだ。自分で考えた事に思わず嗤い、更に歩き出す。行く宛てはない。当然だ、何故なら道すらない。もしかしたら地面すらないのかも知れなかった。足の感覚が既にないので自信がない。果たして自分は歩いていただろうか。そんな疑問と共に足を進める。地を掴んでいる感覚はない侭に、進む。だからあぁ落ちないなと、そんな感想を持った。浮かんだのはそれだけだったから、何かが可笑しい事にも気付かないままに足を動かした。既に手の中には何も無いのに。何が欲しかったのか判らなかった。覚えていなかった。だったらそんなに重要なものではなかったのかも知れない。けれどとてもとてもとても、それこそ自分の生よりも欲しがったものの筈だった。あまりに滑稽、あまりに愉快。くすくすと声を立てて笑いながら、最終地点を思い付いた。けれどすぐに落胆する。足を動かす。進んでいるのかももう判らない。判りたくもない。嗚呼、神よ、これは何の悪戯か。世界を創る事に飽いたなら文句は無かったのに。世界はあまりにも広大で、だから自分はまた偽りの絶望を心の内に作り出す。生きている内に辿り付くには、地獄は遠過ぎた。