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( 2024/11/27 )
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ばかじゃないのあなた
( 2008/02/02 )
(それこそ今更、)
ばかじゃないのあなた
ばかじゃないのあなた
思わず笑いたくなった。
仲間が倒れているのを見て笑いたくなるとは、自分もそこそこにキているらしい、と冷静な思考。
先程まで確かにあった筈の熱は、不自然に冷めた。置き忘れた怒りみたいに。
何処に忘れたっけ?
はて、と考える。それは獄寺が吹き飛ばされたあの場所だろうか、それとも山本が自分を庇って倒れたこの場所? もしかしたら骸がクロームを追って飛び降りた崖の下にでも落としたのかも知れない。
「は、はは……」
考えて、考えて、更に考えて笑えたから笑った。まるで馬鹿みたいだ。
「馬鹿、だよな」
うん、と一人頷く。こちらを見詰めていた男が、怪訝げな表情をしていたが気にしない。
よろめくように足を踏み出す。そんな事をすればいつもなら慌てたような声がいくつも掛けられるのだろうが、生憎と今はそんな人間はいなかった。
否、幸いか。
思い直し、仲間の前に膝を付く。上等なスーツが汚れるだろうが御構い無しだ。どうせこれはもう着れない。
首に手を当てる。確かな脈動が伝わってきた事に安堵する。安堵して、そうしたら唐突に怒りを思い出した。
そうだった、何故自分はこんなに大人しくしているのか。
手を伸ばしたら自分の怒りを見付けたので拾い上げた。ゆったりと再び立ち上がって相手を見据える。
「……たった一人で如何する心算か、ボンゴレ」
「君も一人だろ」
「すぐに仲間が来る」
「それはお互い様だよ」
ハ―――、と。
浴びせられる嘲笑。綱吉は表情を動かさない。
「お前の仲間は全員死んだ。現実を見る事だな」
「さて。生憎と俺は現実と真実を定義する術を知らなくてね」
尤も。
そのような方法、誰一人とて知らぬのであるが。
知ると言うのならば教えてみせろと、そう言いたげに、しかし矢張り如何でも良さそうな表情で。
笑う。
心は凪いでいた。まるで嵐の前のようだ、と思ってまた笑う。
笑う。可笑しくて堪らなかった。
「……何がそんなに可笑しい」
「決まってるだろ? こいつ等の馬鹿さ加減がさ」
ちょい、と指で示すのは己の横に倒れる体。相対する男は冷めた眼でそれを見遣る。
「ボンゴレは慈悲深いと専らの噂だが、所詮は風聞か?」
「さて。それは相対的でしか有り得ないので」
きっぱりと言って一蹴し、ことりと首を傾げた。
近付いて来る気配。
自分の味方では―――ない。
男は未だ援軍の到着に気付いていないようだ。それでも綱吉は穏やかな表情を崩さなかった。
自らを鍛え上げた家庭教師に、心の中で呼びかける。
リボーン。
お前の生徒は、揃いも揃って大馬鹿で究極の性格破綻者で自己中だ。
「何で、そこまでするんだろうね」
この、自分の為に。
学生の頃からしてきた自問に答える声は無い。多分一生出ない。判るのはどいつもこいつも馬鹿だという事、のみ。
笑う。更に近付く敵達の気配が、
一斉に、掻き消えた。
「な―――!?」
さしもの相手も気付いたのか、うろたえた声を出す。それを無視して、綱吉は結論を弾き出した。
あまりにも身勝手に。
「まぁ一番の馬鹿は俺と俺の仲間に手を出した君達、なんだろうけれども」
仲間が倒れているのを見て笑いたくなるとは、自分もそこそこにキているらしい、と冷静な思考。
先程まで確かにあった筈の熱は、不自然に冷めた。置き忘れた怒りみたいに。
何処に忘れたっけ?
はて、と考える。それは獄寺が吹き飛ばされたあの場所だろうか、それとも山本が自分を庇って倒れたこの場所? もしかしたら骸がクロームを追って飛び降りた崖の下にでも落としたのかも知れない。
「は、はは……」
考えて、考えて、更に考えて笑えたから笑った。まるで馬鹿みたいだ。
「馬鹿、だよな」
うん、と一人頷く。こちらを見詰めていた男が、怪訝げな表情をしていたが気にしない。
よろめくように足を踏み出す。そんな事をすればいつもなら慌てたような声がいくつも掛けられるのだろうが、生憎と今はそんな人間はいなかった。
否、幸いか。
思い直し、仲間の前に膝を付く。上等なスーツが汚れるだろうが御構い無しだ。どうせこれはもう着れない。
首に手を当てる。確かな脈動が伝わってきた事に安堵する。安堵して、そうしたら唐突に怒りを思い出した。
そうだった、何故自分はこんなに大人しくしているのか。
手を伸ばしたら自分の怒りを見付けたので拾い上げた。ゆったりと再び立ち上がって相手を見据える。
「……たった一人で如何する心算か、ボンゴレ」
「君も一人だろ」
「すぐに仲間が来る」
「それはお互い様だよ」
ハ―――、と。
浴びせられる嘲笑。綱吉は表情を動かさない。
「お前の仲間は全員死んだ。現実を見る事だな」
「さて。生憎と俺は現実と真実を定義する術を知らなくてね」
尤も。
そのような方法、誰一人とて知らぬのであるが。
知ると言うのならば教えてみせろと、そう言いたげに、しかし矢張り如何でも良さそうな表情で。
笑う。
心は凪いでいた。まるで嵐の前のようだ、と思ってまた笑う。
笑う。可笑しくて堪らなかった。
「……何がそんなに可笑しい」
「決まってるだろ? こいつ等の馬鹿さ加減がさ」
ちょい、と指で示すのは己の横に倒れる体。相対する男は冷めた眼でそれを見遣る。
「ボンゴレは慈悲深いと専らの噂だが、所詮は風聞か?」
「さて。それは相対的でしか有り得ないので」
きっぱりと言って一蹴し、ことりと首を傾げた。
近付いて来る気配。
自分の味方では―――ない。
男は未だ援軍の到着に気付いていないようだ。それでも綱吉は穏やかな表情を崩さなかった。
自らを鍛え上げた家庭教師に、心の中で呼びかける。
リボーン。
お前の生徒は、揃いも揃って大馬鹿で究極の性格破綻者で自己中だ。
「何で、そこまでするんだろうね」
この、自分の為に。
学生の頃からしてきた自問に答える声は無い。多分一生出ない。判るのはどいつもこいつも馬鹿だという事、のみ。
笑う。更に近付く敵達の気配が、
一斉に、掻き消えた。
「な―――!?」
さしもの相手も気付いたのか、うろたえた声を出す。それを無視して、綱吉は結論を弾き出した。
あまりにも身勝手に。
「まぁ一番の馬鹿は俺と俺の仲間に手を出した君達、なんだろうけれども」
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